庵治石
歴史に磨かれた天下の銘石「庵治石」。世界に類をみない上質な石材。
水晶と同程度を誇る硬度と、気品ある美しさ、高い耐久性、
細かな細工にも耐える石質、重量感、そして希少性。
すべてを兼ね備える庵治石は、世界一の石材とうたわれています。
- 旬の時期
- 出回り時期 最盛期(旬の時期)
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- 主な産地
- 庵治町、牟礼町
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庵治石とは
香川県高松市の東に位置する石の里は、山全体が花崗岩の層からなる八栗五剣山にいだかれた牟礼町・庵治町にまたがり、そこから庵治石は産出されています。庵治石は日本三大花崗岩のひとつに数えられ、世界でも花崗岩のダイヤと呼ばれ、高く評価されている石材です。きめ細やかな地肌であるため、風化に強く、磨けば磨くほど艶を増していきます。主成分は石英と長石で、そこに少しの黒雲母が含まれているため、「フ(斑)」と呼ばれる珍しい表情が現われてきます。花崗岩は細目、中目、荒目と分類されますが、庵治石は細目と中目に分類されており、きめ細かな模様の細目になるほど貴重品として扱われています。また、庵治石はその硬度でも知られています。水晶と同じ硬度7に分類され、200年は彫られた字が崩れたり、艶がなくなったりすることがないと言われているのもこの硬さのおかげです。
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石材の単価「世界一」
庵治石の大きな特徴のひとつとして「斑」があります。「斑」とは、よく研磨した石の表面に黒雲母が特に緻密に入り、「指先で押さえたような湿り気または潤いを与えたような」まだら模様に濃淡がでることです。そして、庵治石で良く使われる表現に「斑が浮く」という言葉があります。これは、石の表面が二重の絣(かすり)模様のように見えることをいいます。このような現象は、世界の石材の中でも類を見ず、庵治石特有の現象であるとされています。この希少性、特質から、石材の単価「世界一」と評価されています。
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歴史が磨き上げた庵治石
庵治石の歴史は古く、およそ1000年前にまでさかのぼります。平安時代後期から採石使用され、遠く京都にまで送り出されていました。また、香川県での庵治石製品加工の発祥は、およそ650年前の石清水八幡宮の再建時と考えられています。工法作品等斬新的な加工がはじまるのは1814年屋島東照宮造営の頃と言われています。それまでも牟礼・庵治には石工がいましたが、人手不足のため和泉の国より石工を呼び寄せました。そうして牟礼・庵治にやってきた石工達は、任務終了後そのまま住みつき、自らの業を立て始めました。この頃から明治時代くらいまでが、「庵治石産地」としての基礎づくりの時代でした。当時は注文を受けた石工が自ら山へ足を運び、原石を採掘加工していましたが、時代の進展とともに採石と加工が分業化されるようになってきました。大正から昭和の戦前は「庵治石発展」の時代であり、花崗岩の中でも特に硬い庵治石を見事に製品化する技法を得た石匠が、その技によって刻みあげる石彫品は、庵治石とともに全国に知られるようになりました。その後、灯籠、墓碑等の需要が高まっていき、昭和35年ごろには石材切削機が導入され、石材加工に大変革をもたらしました。このようにして、時代とともに庵治石と石匠の技術は磨き続けられ、現代では、石匠が身につけた技術を思うがままに発揮できるようになっています。