フクロウがくる四国霊場
香川県の西部にある三豊市。その名の通り、野菜や果物、豊かな実りに恵まれた市です。この市の南端にあるのが、山本町と財田町。まずは、さぬき豊中インターから車で南西に10分ほど、山本町からスタートします。財田川や讃岐百景のひとつ逆瀬池があり、歴史ある神社仏閣も多い山本町エリア。ここには、四国霊場第67番札所「大興寺」もあります。小松尾山大興寺は、天平14年(742年)、東大寺の末寺として、現在地より約1㌔北西に建立されたという古刹。現在は緑の田畑を望む小松尾山のふもとにあり、境内には弘法大師お手植えといわれるカヤとクスの大木がそびえ、春にはフクロウが巣作りをすることでも知られています。参道入口で迎えてくれる金剛力士像は、鎌倉時代初期、運慶の作と伝えられ、四国一古くて大きな仁王さんとの説明がありました。
日展作家と伝統工芸士
国道377号沿い大興寺への看板がある近くに、香川漆器の伝統工芸士・西岡喜三夫さんのお住まいがあります。時々、自宅で展示会を開くこともあるという西岡先生。香川漆器のお話しを伺いたいとお訪ねしました。西岡氏の出発点は、「讃岐彫」の作家である藤原泰山氏の弟子となった昭和22年、若干16歳の時でした。なんと63年を超える歳月、漆器の世界を極めてきたのです。最初に学んだ「讃岐彫」は、彫刻刀で高い部分と低い部分を彫り分け、そこにスリ漆を数回塗り、色漆で模様を浮き立たせるというもの。その後、日展で「彫漆(ちょうしつ)」の作品を見て感動、人間国宝となった音丸耕堂氏に師事しました。この「彫漆」とは、漆を何回も塗り重ね、その表面を彫刻刀で彫り、模様を描くというもの。掘り下げる深さによって、埋もれていた漆の色を見せるという高度な技を要します。それだけに、作品には何とも言えない幻想的な美しさがあります。西岡氏は、この「彫漆」の技法で日展に何度も入選。日本画を超えるような見事な作品を作り続けています。また、「讃岐彫」のあでやかなお盆や茶器にも多くのファンがいます。日展作家と伝統工芸士という二つの顔を持つ西岡喜三夫先生。今後は、思うままに温かい作品を作り続けたいとお話しくださいました。
きらきらと輝く
大興寺の看板から、国道377号を東(高松方面)へ進むと看板があり、そこを右手に入れば「にのみやあ~と」の工房があります。ここでは美しいとんぼ玉をはじめ、装飾ガラス、ミラー、時計、ランプなど、さまざまな作品が生み出されています。なかでも人気の商品は、透明なガラスに赤ちゃんの小さな手足形の彫刻を施した、「赤ちゃんの手形足形ガラスプレート」。出産の記念・お祝いにも、可愛いインテリアとしてもおすすめです。そのほか、小さなガラス玉に繊細な技が光る「とんぼ玉」は味わい深い、一点もののアクセサリーとして全国でも大人気。現在、都内の百貨店を中心に各地で展示会を行っています。また、予約により「とんぼ玉体験教室」、「エッチングガラス体験教室」を開催しています。オリジナルの作品作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
なお「にのみやあ~と」さんの南東にはボタン寺として有名な「薬王寺」、北西には菅生神社があり、社叢は国指定の天然記念物、3月には歴史ある「百々手祭り」も行われます。
美術鋳造所
菅生神社の北西、古い民家が密集する一画に「原銅像製作所・原鋳造所」があります。創業は慶安年間(1648年~1651年)といわれ、朝廷より「勅許御鋳物師」の勅許状を賜った伝統の技を継承しています。その昔は鋳物師辻と呼ばれるほど、ここでは鋳物が盛んで、多くの職人さんが暮らしていたそうです。鍋、釜から始まり、幕末には大砲、明治時代には釣鐘を多く作り、やがて銅像の製造が中心となり、今ではインテリア用品やお土産物にもなる小物も各種作っています。工場の中を見せていただくと、銅像のための原型が所狭しと並べられていました。仏像、有名人、動物の型、今話題の坂本龍馬も坂の上の雲の秋山兄弟も、瀬戸大橋を提唱したという大久保諶之丞やかつての総理大臣・大平正芳氏、弘法大師といった地元の偉人も作り続けて来られたのです。かと思えば、店先の棚の上には、観音寺の砂絵にちなんだ「寛永通宝」、干支にちなんだウサギの置物、愛らしい招き猫といった技が光る小物が並びます。ここでは、原型・鋳造・着色といった全行程を一貫して行えるので、あらゆる注文に応えることができます。「原銅像製作所・原鋳造所」は、貴重な技を伝える日本でも数少ない美術鋳造所なのです。
讃岐和牛専門店
「原鋳造所」の東、県道5号線(観音寺池田線)沿いに讃岐和牛の専門店吉田があります。ここは、およそ50年ほど前に開店した精肉店。3年ほど前にリニューアルオープン。店頭には、香川県自慢のさぬき黒毛和牛はもちろん、黒毛和牛のハンバーグや手作りミンチカツ、国産豚のロースカツなどが並んでいます。
極上の黒毛和牛
その隣にあるのが、ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きの「茶茶」。開店から14年目になりますが、改装を次々と手がけ、新築のように洗練されたおしゃれな店舗です。店内の大理石のカウンターも見事。建築関係の友人の手によって、居心地の良い店作りがなされています。この店の前身は、精肉店の2階にあった焼き肉店。オーナーご自身は精肉店を継ごうと思っていたのですが、この土地が手に入り、それまで学んできたステーキや焼き肉の知識を生かし、お店を開くことになりました。肉に精通したご一家の力があり、本当においしい肉を味わうことができるのです。ここは、讃岐三畜協力店として名を連ねている讃岐和牛を扱うお店。隣の讃岐和牛専門店がご実家ですが、実際にはなかなか手に入りにくいとか。そこで、豊中から牛を直接買い取っています。そうした事情もあり、讃岐和牛100%ではなく、選りすぐりの国産和牛にこだわっているとのことでした。もちろん、香川県産の上質なものを使いたいのが本音、ニンニクをはじめ野菜なども、地元のものを優先して使っています。そのため、サラダも新鮮でおいしく、手軽なランチタイムも多くの人でにぎわっています。夜には極上の黒毛和牛をリーズナブルに味わえると、家族やグループにも人気です(写真は、ファミリーコースの黒毛和牛もも肉)。
大西柄物製作所
「茶茶」から県道5号線を財田方面に向かい国道377号と交わる長瀬交差点を左折、テーブルマークの工場近く、国道沿いに「大西柄物製作所」があります。その昔の農作業は、何でも手作業。鋤(すき)や鍬(くわ)、地元でいうところのジョウレンやトンガで畑仕事をしていました。その木の部分「柄」を制作しているのが、この製作所です。ほかにも、餅をつくときの杵(きね)、祭りの際の太鼓打ちや鉦打ちのバチ、棒術の棒、そして、さぬきうどんに欠かせない麺棒を作っています。また、そば打ち用の太めの麺棒も注文が多いとか。最近は、圧倒的に中国からの輸入品が多く出回っていますが、手作業で丁寧に作っている大西さんの製品は、ひと味もふた味も違います。まず、素材は国産の樫の木かムクの木しか使いません。外材とは、ねばりが全く違い、固くしっかりしているので、後で曲がったり、ひび割れたりすることがほとんどないそうです。例えば麺棒の場合は、曲がってしまう均一な生地ができずおいしい麺を打つことができません。そこで、曲がることのない大西さんの麺棒が引っ張りだこ。麺棒は、まず国産の樫の角材を一年かけて自然乾燥させます。それを蒸気にかけて曲がりを直し、手仕事で丁寧に削っていきます。最後はペーパーで2度仕上げをして完成。これだけでも、大変な工程と思ったのですが、創業当時の昭和34年ころは、カンナで木を削っていた時代。その手間は、さらに大変なものだったそうです。なお、細めのうどん打ち用のものは、健康体操に使いたいという注文もあるとか。一石二鳥の麺棒です。平成21年度三豊市ものづくり大賞にも輝いた大西柄物製作所・大西正文さんでした。
週三日の産直
国道377号沿い、道を挟んであるのは、水曜日と土・日だけに開催するという「山本ふれあい市」。細長い屋外テントには、花々や新鮮野菜、果物。建物の中には、缶詰やジャムなどの加工品、お総菜、手作りお菓子など、おいしそうなものがずらり。また、地元の工芸品も並べられています。営業時間は7時~17時。開店と同時にどんどんお客さんが来るので、水・土・日の開催曜日には早めにのぞいて見ましょう。
たからの田がある
県道5号線に返り、三豊市財田町へ向かえば、やがて「香川用水記念公園」の看板が見えてきます。「香川用水記念公園」は、香川の農業や暮らしを支える「香川用水」の歴史や恩恵を体感し、学ぶための記念公園。吉野川の水が阿讃トンネルを通り、最初に水面を見せる東西分水工の場所にあり、広大な敷地は散策におすすめ。
再び県道5号線を池田方面に進み、最初の信号を左に曲がれば、道の左手に「伊舎那(いしゃな)院」が見えてきます。ここは、聖徳太子開基と伝えられ、安産・子授けの寺として知られています。その昔は、丸亀藩の降雨のための祈祷所としても栄えました。
健康カフェをオープン
「伊舎那院」の先には、「大地と語り合う広場」があります。ここは2004年に発足した「大地と語り合う会」の活動拠点。会長の多田弘美さんは、婦人会長を経験した後、この地で生きてきて、もっと役に立つことがしたいと考えるようになり、まずEMぼかしを作って環境浄化に取り組んだそうです。これにより「農業は命と語り合う営み」と考え、農薬を使わない自然農法で安全な農産物を育て、道の駅や障害者施設、福祉生協に出荷するようになりました。その後、自慢の果物でジャムを作る場所として、2006年春にこの広場が完成。当時は、昼間の畑仕事などを終え、午前1時や2時まで、ジャム作りを行っていたそうです。やがて、さらに健やかな食品を生み出したいと日本では珍しい“ボイセンベリー”を栽培するようになりました。バラ科キイチゴ属の“ボイセンベリー”には、強い抗酸化作用があるアントシアニンをはじめ、葉酸、エラグ酸、食物繊維、ミネラルなどが豊富に含まれ、血液循環の改善、更年期障害の防止、老化予防、抗発がん作用など、健康を促進する成分が豊富にあることがさまざまなデータから実証されているそうです(大地と語り合う会のパンフレット参照)。2010年には、メンバー20数名と共にボイセンベリー生産者の会を立ち上げ、現在は果汁、ヨーグルトソース、ジャムなどを作り、道の駅などに出荷しています。そして、2010年12月、健やか、安らぎをテーマにした健康カフェをオープン。健康ジュースやボイセンベリーのジャムを生かしたベーグルなどのメニュー、新鮮野菜、摘み立てイチゴ、自慢のジャム製品などを用意し、訪れる人を癒し、健康にしたいと願っています。財田運動公園にも近い眺めの良い場所にありますので、ぜひお立ち寄りください。
たからだの米
再び県道5号線に返り、さらに財田支所の方向に進めば、次の信号の交差点に、大正4年(1915年)の大嘗祭において財田が主基斎田になったことにちなむ「たからだの碑」が立っています。またその上には地元の鎮守さま「鉾(ほこ)八幡宮」があります。ちなみに、財田の地名は、その昔、どの土地も日照りで米がとれなかった年に、ここだけはおいしい米が収穫でき、朝廷に献上したところ、「たからだ」の名前を賜ったと伝えられています。その歴史は今でも受け継がれ、おいしいお米の産地として知られ、「たからだ米」というブランド名で販売されています。さらに「たからだ米」の中でも、石野の土地で収穫するお米は味がよいといわれ「石野米」と名付けられ、さぬき特選「Kブランド産品」にも認証されています。それでは、次に県道をさらに進み、「たからだ米」や「石野米」もある道の駅「たからだの里さいた」に向かいます。
人気産直の人気商品とは?
道の駅「たからだの里さいた」は、県道5号線と国道32号の交差点近くにあり、ここにある物産館は香川県で一、二を争う人気の産直。駐車場は店舗の前後にあり、普通車で104台、大型バスも3台駐車することができるので、いつも大勢のお客さまでにぎわっています。ここの店頭には、新鮮な野菜や季節の果物があふれているのはもちろん、この土地の自慢の品、土産物がずらっと並べられています。あれこれ、見ているだけで楽しい上に、近くには「たからだの里環の湯」や塔重公園、無料のパークゴルフ場(9ホール)もあり、家族で日曜日に出かけるにもピッタリ。ワクワクする道の駅です。
その人気の店頭で、さらに注目の商品をスタッフに教えてもらいました。まず平成22年度の県産品コンクールで知事賞(最優秀賞)に輝いた山下海産株式会社の「パリパリ焙煎いりこいろんな味セレクト(プレーン味、一味、山椒、人参)」。独特のスパイシーな味がたまらないミートピアサヌキの「讃岐の逸品・骨付鳥」や三豊市の食関所・串らんどの「さぬき骨付鳥」。またかくれた人気商品は漬け物。冬には、もちろん冬野菜やあふれるほど店頭に並ぶかんきつ類、イチゴ、そしてイノシシ肉もおすすめです。年間を通じて、ファンがいるのは「手づくりアイス」。エスプレッソコーヒーをかけるアフォガードも大人のアイスとして注目されています。12月には、しめ縄をはじめとしたお正月用品がそろい、厳冬期には豚汁の接待日もあります。これまでご紹介した山本・財田の自慢の品もずらりと並ぶ道の駅「たからだの里さいた」。遠くからでも足を運ぶ価値がある産直です。
この物産館の人気を支えているグルメスポットは、隣接してある「うどん茶屋さいた」(無休・10時~17時)と「おしゃべり暖炉 Cafe Preto」(定休日は物産館と同じ・8時半~16時)。写真は、カフェプレットのタイムランチ。産直の食材を使った地元の人にも人気のランチです。
癒しと活力の温泉
道の駅の上には、近隣の人々に大人気「環の湯」があります。その泉質はナトリウムを多く含み「白銀の湯」とも呼ばれ、浴室からは阿讃山脈のパノラマを楽しむことができます。ここは風水により、活力と優しさが集まる場所といわれ、中庭には速水史朗氏の彫刻作品「ぬし」が守護神のように置かれています。入浴後には、地元の野菜をふんだんに使ったおかずも並ぶ食堂もあります。大広間もあるので、少人数から大人数までの宴会や食事会も可能。すぐ下の「湯の谷荘」では、予約により宿泊や研修、会議などにも利用できます。
見ても飲んでも味わい深い
次は、国道32号を琴平方面に向かい、途中から右折しJR財田駅を目指します。財田駅はのどかな無人駅、駅舎横にはタブの巨木があり木陰を広げています。そのすぐ近くにあるのが岡本焼の「ギャラリーとよなか」。岡本焼は、かつて藤原京に大量の瓦を供給した三豊市の土を利用して始まった焼き物。14世紀に帰化人がその技を伝え、1332年に後醍醐天皇の皇子により作陶技術が高められたと言われています。土鍋や釜、土管など身近な暮らしの品が有名で、行商人によって各地に売られていきました。ギャラリーの主・大西さんの先代も岡本焼の仕事にかかわり、小さいころから焼き物に囲まれて育ったそうです。やがて四国霊場第70番札所本山寺の境内でお茶の接待をするようになり、自作の作品も並べていました。
やがて陶芸仲間と共同で工房を開きましたが、どうしても登り窯で本格的な作品を作りたいと、この地に移り住んできたとのことです。岡本焼の土は鉄分を多く含んでいるので素焼きにすると柔らかい土色に、高温で焼き締めると備前のような赤茶色になります。四国三郎義景の作家名で創り出す大西さんの作品は、生活雑器・岡本焼の世界をはるかに超える美術作品。備前焼と肩を並べて勝るとも劣らぬ独特の風合いを醸し出しています。さらに肥松を燃料に高温で焼き上げる器は、何とも言えないまろやかな味を引き出します。これは、飲み比べてみると一目瞭然(りょうぜん)。岡本焼の底知れぬ魅力を味わうことができます。
真冬のトロピカルスイーツ
国道32号に戻り琴平方面に進むと、道の右手に「フルーツランド アンファーム」が見えてきます。ここは、香川県では珍しいトロピカルフルーツのお店。趣味で栽培していた南国フルーツを2009年から本格的に収穫するようになり、直販したいと翌年6月にオープンしました。もちろん、県外・国外のフルーツも並びますが、季節には自家ハウスの完熟マンゴーも味わえます。現在は、冬に収穫できるマンゴー栽培にチャレンジ中とか。ギフトにもおすすめのフルーツ盛り合わせやテイクアウト用のソフトクリームも人気。隣のカフェではジュースやパフェ、冬にはチョコレートフォンデューやぜんざいデラックスなども味わえ、ランチメニューもあります。
季節の味をぎゅっと詰め
再び国道32号を琴平方面に向かうと右手に「讃岐缶詰」の直売所が見えてきます。「讃岐缶詰株式会社」は、昭和4年にタケノコの加工を始めたのがスタート。昭和27年に讃岐缶詰株式会社を設立し、現在は財田の本社工場のほかに、三野、善通寺、秋田県にも工場があります。現在は、ミカン、リンゴ、モモ、栗、イチジク、ビワ、洋梨などのフルーツ缶詰やイチゴジャム、スイートコーン、黒豆、米飯やおかずなどの調理缶詰を多く販売しています。珍しいものでは、パンやいなり寿司の缶詰もあるそうですが、大半はアメリカへ輸出されているそうです。直販店の店頭で気になったのは、まず「なめ茸」の瓶詰め。とろっと甘みのあるなめ茸はアツアツのご飯にのせると、たまごかけご飯以上に絶品メニューになります。冬にもおすすめは発芽玄米甘酒。最近注目されている発酵食品。その甘酒に発芽玄米が使われているのですから、ますます元気になれそうです。そして、オセチ料理にもおすすめ「ぶどう豆」。黒豆のなかでも、さらに大粒のものをつやつやに仕上げました。また、香川特産の真っ赤なミカン、小原紅早生の缶詰もありました。直販ショップでは、お得品も置いてあり、リーズナブルなお買い物ができます。保存がきく缶詰、瓶詰ですから、買いだめしたくなる「讃岐缶詰」直売所でした。防災用、ギフト用にもどうぞ!
手づくりの良さを追求したい!
国道32号、琴平に向かって左手には「セキフーズ」があります。平成6年に個人で缶詰を作り始め、平成9年に有限会社として創業。国産素材にこだわり、手づくりの良さを生かしてきた食品工場です。もともと財田はタケノコの産地。「セキフーズ」では地元のタケノコにこだわり、「たけのこ水煮」や醤油やみりんで味付けをした「たけのこ味づくし」を販売しています。「たけのこ味づくし」は、天ぷらにもおすすめ。財田のエノキタケで作るのは「なめ茸珍味」。収穫してすぐに調理するので、新鮮な食感が大好評。さぬきうどんにもよく合い、善通寺の人気うどん店のメニューにも登場します。また、松茸やタケノコが入った、高級品は贈りものとしても喜ばれています。香川県産の健康食材・黒豆(丹波種)をプロの技で仕上げたのは「黒豆甘煮」。また三木町のイチゴ(森のいちご)を使った「いちごジャム」は、プレザーブスタイルという原型を残したもの。アイスクリームやヨーグルトに添えても、イチゴの風味をたっぷりと味わえます。2代目社長の関英滋さんは、4年生大学を卒業後、東洋食品工業短期大学に進学、加工食品について徹底的に学びました。「素材にも製法にもこだわり、地元農家の方にも喜んでいただきたい、香川県産を大事に味の世界を追求したい」と語ってくれました。今後は、お菓子の素材としての展開も考えたいとか。ここにも、香川自慢の味の世界がありました。
味よし・人よし・眺めよしの三豊市、山本・財田エリアにこの冬、出かけてみませんか。忘れられない人と味、心の底から、ほんわか温かくなりますよ。