讃岐路にも雪が降った冬が過ぎ、春がやってきました。あちこちから花の便りが届き、緑や花をテーマに祭りやイベントも開かれます。高松市の玉藻公園では、今年は3月中旬〜4月10日の予定で「春の植木市」、まんのう町の国営讃岐まんのう公園では4月2日〜5月29日「春らんまんフェスタ」、4月の第一日曜日には各地で桜祭りも開催され、4月10日には金刀比羅宮で桜花祭が行われます。
その琴平では、「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が4月9日〜24日まで開催されます。そこで、今回は門前町琴平です。
日本一の海の神様と門前町の温泉郷
香川県のほぼ真ん中にある琴平町。「讃岐のこんぴらさん」で有名な金刀比羅宮の門前町として、江戸の昔からにぎわってきました。四季折々に、さまざまな神事やイベントが開催され、年間300万人もの観光客が訪れています。平成9年には、温泉がわき出て、全国でも珍しい門前町の中にある温泉郷として知られるようになりました。それでは、温泉につかる前に長い石段を登って金刀比羅宮に参拝しましょう。JR琴平駅やことでん電車の琴平駅から歩いて約5分から10分、にぎやかな通りに入ります。沿道のみやげ物店などを次々と過ぎると、やがて目の前に石段が…。この石段は、金刀比羅宮の名物。御本宮までは785段(奥社までは1,368段)もありますが、そこには、大物主神と崇徳天皇がまつられ、海上安全、国の繁栄や農漁業、医療など、さまざまな願いを叶えてくれるといわれています。
問い合わせ 金刀比羅宮 http://www.konpira.or.jp
傘を広げて“あめ”を売る「五人百姓」
この金刀比羅宮の境内の中で、唯一商売を許されているのが「五人百姓」。象頭山神祭日誌には、寛元3年(720年)五人の者に特命で神事を命じられたと書かれています。そのように金刀比羅宮に功労があったとして、この5軒が数百年前から特別に商売が許されてきました。境内は山上にあり大木が多く、ふもとより雨が多く降るといわれています。それにちなみ、大きな傘を広げて飴を売るようになったということです。その「加美代飴(かみよあめ)」は、ほんのり柚子の香りがする黄金に透き通った飴。かわいいトンカチがついていて、それで小さく割って口に入れます。やさしく、なつかしい味がするこんぴらさんの名物です。
舟々せんべい・石松まんじゅう「紀の国屋」
それでは、金刀比羅宮に参拝し、石段を下りてまいりましょう。再び大門を下れば、おいしいにおいに誘われます。江戸時代の旅籠屋の屋号がそのまま店名となり、明治15年に創業した「紀の国屋」。昔からこんぴら参りの名物として愛されてきた卵風味の「舟々せんべい」と三度笠を模したカステラに上品な甘さのこしあんを入れた「石松まんじゅう」の製造元。そして、ここでしか味わえないのが「あげまん」。これは、店のおばあさんがお孫さんのおやつに作っていたものを商品化したところ、おいしいと評判になったもの。「石松まんじゅう」を揚げた石段名物のファーストフードです。どこか懐かしくてとりこになる甘さ。世代を超えて愛されています。
問い合わせ 電話:0877-75-2474