第35回 庵治石
梶 剛(かじつよし)
NSC大阪校22期生
2005年ムーディ勝山と“勝山梶”結成
2008年ABCお笑い新人グランプリ新人賞
2010年ピン芸人“梶剛”として活動
出身地:香川県三豊市 1981年3月28日生まれ
”庵治石”は香川県高松市の牟礼町・庵治で産出される花崗岩。
磨き揚げると表面に浮かび上がる美しい文様と、水晶に匹敵する硬度が特徴で、
高級石として全世界に知れ渡っています。
およそ1000年前にはすでに採掘されていたといわれる歴史ある香川県産石を梶さんがリポート!
-
ごく狭いエリアでだけ採れる“庵治石”
梶さんが訪れたのは牟礼町・庵治町にそびえる「五剣山」の一角、「大丁場(おおちょうば)」とも呼ばれる巨大な露天採石場です。
まずはその雄大な眺めに、梶さんはビックリ!「なんか映画のワンシーンみたいや…」。ここで案内していただいたのは、協同組合庵治石振興会理事長の岡谷さんです。「庵治石はこの山のごく狭い範囲でのみ採石できます。産出した石の中からキズや汚れの無いものをさらに選び、墓石や灯籠、石仏などの製品に使います」。最高級品ともなると産出量の数%だとか。庵治石が「花崗岩のダイヤ」とも呼ばれる由縁です。 -
その美しさから内装材としても人気。
続いて展示場へ案内された梶さん、庵治石を磨くと表面に現れる独特の模様「斑(フ)」を見学させてもらいました。「なんか立体的に見える!」。奥行きのある模様は“瀬戸のさざ波”とも称される美しさ。また彫られた文字が200年以上経っても崩れたり変色しない硬度を持つとか。「最高級の庵治石は数%ですが、残りの庵治石も様々な用途で使われているんですよ」。世界的な高級ホテルやレストランの内装材、テーブル・カウンターなど家具に使用されることも。さらに小さな庵治石は建築する際の骨材になるそうです。
「庵治石って、まさに“捨てるとこ無し”なんやなぁ」。 -
牟礼町・庵治町には庵治石を活かす職人技が。
県内での庵治石の加工の歴史は古く、約650年前から加工が始まり、約200年前の屋島東照宮造営の際に本格化しました。梶さんは昔ながらの職人技が見られるという加工場へ。案内していただいたのは白井文雄石材店の白井さんです。ちょうど白井さんのお父さんが大きな灯籠の傘を制作中でした。なんと使っているのは槌とノミだけ! 設計図もなく、石の表面に引いた線を目印に彫っています。道具を持たせてもらうと、ズッシリとすごい重さ。「こんな重いもんで、しかも手作業で彫ってるなんて… 職人技やなぁ」。希少な庵治石だからこそ、それを支える技もハイレベルなのです。
-
街へ、食卓へ。大きく広がる庵治石の世界。
最後に訪れた山田石材店は石仏などを主に作る加工場です。案内していただいたのは代表の山田さん。ここでは石仏の他、山田さんが手がけた庵治石の照明や食器を見せてもらいました。「この皿に県産品を素材にした料理を盛って参加者に食べていただくイベントもやっているんですよ」。牟礼町・庵治町の“石工(いしく)”たちが自らの技を使って、まったく新しいジャンルの製品が次々と生み出しているのです。「内装材、家具、照明、食器…、庵治石はどんどん世界に広まっているんやなぁ」。県産品の持つ素晴らしい一面をまた発見した梶さんでした。