第66回 マナガツオ
梶 剛(かじつよし)
NSC大阪校22期生
2005年ムーディ勝山と“勝山梶”結成
2008年ABCお笑い新人グランプリ新人賞
2010年ピン芸人“梶剛”として活動
出身地:香川県三豊市 1981年3月28日生まれ
ひし形の体に小さな顔とおちょぼ口がかわいらしいマナガツオ。
「西にサケなし、東にマナガツオなし」という諺(ことわざ)があり、西日本で親しまれている高級魚です。
マナガツオ漁シーズン真っ只中の7月、高松市中央卸売市場前の漁港にやってきました。
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マナガツオは瀬戸内海の夏を代表する魚
「大きな漁船が並んでいますね」漁港に停泊するマナガツオ漁船に驚く梶さん。
「マナガツオは7月から9月頭にかけて瀬戸内海で獲れる魚なんですよ」と教えてくれたのは漁師の河原(かわはら)さん。通常は外洋を泳いでいる魚ですが、夏の時期だけ産卵のために瀬戸内海に入ってきます。「カツオと名前が付いていますが、カツオの仲間ではないんですよ」と河原さん。平べったい菱形の形と銀色のウロコが特徴で、大きいものだと長さ40~50cm、重さ2.5kgにもなるのだそう。 -
漁に使う網の長さは200m!
マナガツオは「込網漁(こましあみりょう)」という漁法で獲られています。
長さ200mもの網を潮の流れに沿って海中に張ります。網の片側はY字に分かれていて、その両端を1トンのイカリで海底に固定します。潮の流れに乗って魚が袋網に入る仕掛けです。網入れをしてから5時間ぐらいおいておきます。
「魚の通り道を見極めることが重要なんですよ」と河原さん。
今はGPSも活用していますが、昔の人は山などの見え方を目印に船の位置を確認していたそうで、漁師の技術に梶さんも感心していました。いったん港から出ると15時間ぐらいは船の上。「自然が相手だから必ず獲れるとは限らない」という河原さんの言葉に、マナガツオの貴重さを改めて感じました。 -
網上げは緊張の瞬間
この日の漁は直島の近く。女木島や男木島あたりで漁をすることもあります。網を入れてからおよそ5時間後、潮が止まる1時間半前に網を上げます。まず、イカリを海底から船に上げて、網をローラーで巻き上げていきます。大きな音を立てて巻かれていく様子は圧巻。漁師さんたちはチームプレーで手際よく作業していきます。最後に魚の入った袋網がゆっくりと海から顔を出します。マナガツオの銀色の姿が見えてきました。
「マナガツオのウロコはすごく剥がれやすいんですよ。銀色のウロコが光るマナガツオは漁師だけが見られる姿なんです」とマナガツオを手に笑顔で話す河原さんが印象的でした。 -
瀬戸内の恵みに感謝
商品づくりを担当している谷本さんがマナガツオのおいしい食べ方を教えてくれました。「マナガツオは味噌漬けが一番。獲れたてのマナガツオを新鮮なうちに味噌漬けにしています」と谷本さん。
味噌も香川県産の白味噌にこだわっているのだそう。焼き始めると白味噌の甘く香ばしい香りが漂ってきました。ほどよく焼き目が着いた味噌漬けをすすめられ梶さんが一口。
「おいしいですね!白味噌が中まで染みています。マナガツオのいいところは、白味噌の味もマナガツオの味も両方が引き立っていること。目の前で獲れた魚をすぐ食べられるのは食育の面でもいいですね」
「マナガツオは身が柔らかくて冷めてもおいしいんですよ。うちの子ども魚の中でマナガツオが一番好きなんです」と谷本さん。「魚の命をいただいているから無駄にしないように、注文いただいた分だけ作っています」
梶さんもマナガツオの味を堪能しながら瀬戸内の恵みに感謝していました。