第75回 讃岐餃子
梶 剛(かじつよし)
NSC大阪校22期生
2005年ムーディ勝山と“勝山梶”結成
2008年ABCお笑い新人グランプリ新人賞
2010年ピン芸人“梶剛”として活動
出身地:香川県三豊市 1981年3月28日生まれ
香川県の新しいご当地グルメとして、2020年に「讃岐餃子」が誕生しました。
讃岐餃子は、讃岐うどん用に開発された小麦「さぬきの夢」の小麦粉を使った皮でオリーブ豚(とん)や県産の野菜を包んだ、香川県ならではの餃子です。
梶さんは、讃岐餃子の加盟店「中国料理 北京」「China長江 柳迫店」「中華料理 彩宴」の3店を訪れました。
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みんなを笑顔に元気に!香川の新ご当地グルメ「讃岐餃子」の誕生
1店目は高松市片原町の中国料理 北京(ぺきん)へ。
シェフの中井和人(なかい かずと)さんが讃岐餃子の誕生のきっかけを教えてくれました。
讃岐餃子は2020年、ちょうど新型コロナウイルスが感染拡大し、飲食店が影響を受けている最中に誕生しました。 -
飲食店が落ち込んでいた中で、中井さんら香川県中華料理生活衛生同業組合の有志は、香川県の食材を詰め込んだ餃子をテーマに、食から香川を元気にしようと活動をスタート。
讃岐餃子に取り組むお店が増えれば、香川県産食材の仕入れも増えます。少しかもしれないが、生産者さんたちが元気になる一助になればと中井さんは思いを語ります。 -
「食を通じてみんながつながり、みんなが笑顔に。それが讃岐餃子の原点なんですね」と梶さんは讃岐餃子誕生の経緯に感動していました。
「讃岐うどん」「骨付鳥」に続く第三のご当地グルメにすることが中井さんたちの夢です。 -
讃岐餃子の条件は「さぬきの夢」の小麦粉を使うこと
讃岐餃子は、皮に「さぬきの夢」の小麦粉を使うことが第一条件。さぬきの夢とは、讃岐うどん用に開発された香川県産小麦のことです。
「讃岐餃子の開発にあたり、製粉会社の方を招いて小麦粉の勉強から始めました」と中井さんは当時を振り返ります。 -
小麦粉には、強力粉・中力粉・薄力粉があります。強力粉は一番粘りが強く、薄力粉は粘りが少ないのですが、さぬきの夢はやや薄力粉に近い中力粉になります。もともと讃岐うどん用の小麦のため、もっちり感とツルツル感が出る性質がありますが、その力をどうやって引き出すかは料理人の腕の見せどころ。
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「さぬきの夢」の小麦粉100%で皮を作る料理人もいれば、強力粉とブレンドしてもっちり感を生み出す料理人もいます。各店の料理人が工夫を凝らす餃子の食べ比べができることも讃岐餃子の魅力です。
讃岐うどん用の小麦粉を使うことで、お客さんの興味も高まっているそうです。
▼関連リンク
さぬきの夢 -
讃岐餃子の具にも香川県産素材を使用
讃岐餃子の具にも香川県産食材を1種類使うことが決まりです。
香川県産のブランド「オリーブ豚」や「オリーブ地鶏」、地魚を使うお店もあります。
「香川県は海の幸、山の幸が豊富で、野菜も多品種を栽培しています。それらを餃子に包み込んで提供できるという喜びがありますね」と中井さん。
2021年には、イタリアンシェフがイタリアンの視点で、和食の料理人が和の視点で讃岐餃子を考案するなど讃岐餃子の輪が広がっています。
▼関連リンク
オリーブ夢豚(ゆめぶた)/オリーブ豚(とん)
オリーブ地鶏 -
中国料理 北京の「瀬戸内レモン餃子」
梶さんは、中国料理 北京の讃岐餃子「瀬戸内レモン餃子」を試食しました。
瀬戸内レモン餃子は、さぬきの夢を使った皮でオリーブ豚のミンチと香川県産レモン、玉ねぎ、ニラを包んで焼いた焼き餃子です。 -
「まずはタレをつけないで、そのまま食べてみてください」と中井さん。
「うまい。レモンの香りがして瀬戸内の風を感じますね。お肉もさっぱりしていておいしいです」
中井さんは、レモンの皮を料理に生かす洋食にヒントを得て、餃子の具にレモンの皮を練り込みました。それが具からふわっと香る瀬戸内の風のポイントです。
にんにくを使用していないので食べやすく、ニオイが気になる方にもおすすめだそう。 -
次は添えらたレモンを絞っていただきました。
「先ほどは具の中からフワッとレモンを感じましたが、これは口に入れた瞬間にレモンに包まれますね」梶さんはさらに瀬戸内の風を感じたようです。オリーブ豚のうま味がぎゅっと濃縮されて満足感もあります。
「皮の香ばしさともっちり感に瀬戸内レモンの酸味が生きた、新感覚の餃子になったと思います」と中井さんの熱い思いが形になった餃子でした。
中国料理 北京 本館 -
China長江 柳迫店の「紅油水餃」
2店目は高松市香西本町のChina長江 柳迫店(ちょうこう やなぎさこてん)へ。
店主の柳迫勉(やなぎさこ つとむ)さんが讃岐餃子「紅油水餃(ホンユースイジャオ)」を用意してくれました。「紅油」とはラー油を意味しています。 -
「温かいうちに食べてください」と柳迫さんにすすめられて梶さんは一口。
「これはうまいですね。餃子の皮に厚みがあって、もっちもちで、すごく小麦の味がします」
日本では薄い皮に具がたっぷり入った餃子が主流ですが、餃子を主食とする中国では厚い皮の中に少量の具を入れて、皮でお腹を満たす食べ物であったと柳迫さんが教えてくれました。 -
餃子にかけられている黒みがかったタレは甜醤油(テンジャンヨウ)という四川料理特有のタレです。雲白肉(ウンパイロー)という、ゆでた豚肉を薄く削いだ料理にかけるタレで、それを讃岐餃子に応用しています。氷砂糖と醤油、その中にニッキ、八角、みかんの皮、ねぎ、しょうがを入れ、アクをとりながら2時間弱火で煮つめて作っています。
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梶さんはラー油にも注目。
「餃子にかかっているラー油は辛いんですけど、市販のラー油とは全然違いますね」
ラー油は本来、辛みの中にも甘みがあるものだと柳迫さんは言います。
ラー油は赤唐辛子の粉を使いますが、唐辛子はピーマンやパプリカと同じ仲間の野菜。ピーマンやパプリカが熟して赤くなると甘みが出るのと同様に、唐辛子も最初は青いけれど熟して赤くなると甘みが出てきます。冷たい油の中に香辛料を入れて火をつけて、ねぎが黒くなるまで温度を上げると香辛料の香りが引き立つそうです。 -
長年、餃子を作り続けてきた柳迫さんもさぬきの夢を使った皮作りには苦労したそう。
コシが出すぎないように、さぬきの夢と強力粉のブレンド具合を調整して試作を重ね、ほどよいもちもち感を生み出しました。
讃岐餃子に参加するにあたり、柳迫さんは目新しい味を作るのではなく、今まで作り続けてきた味をそのまま伝えたいという思いを持っていました。紅油水餃は、香川県産食材を使いながら、伝統的な中国料理の味を丁寧に伝えています。
China長江 柳迫店 -
中華料理 彩宴の「さぬきの水餃子四川風ソース」
3店目は高松市塩上町の中華料理 彩宴(さいえん)へ。
店主の長谷川良多(はせがわ りょうた)さんが讃岐餃子「さぬきの水餃子四川風ソース」を用意してくれました。 -
梶さんはさっそく熱々の讃岐餃子を口にしました。
「これはおいしいですね。皮がプルンプルンでもちもち」と皮の食感に驚く梶さん。
長谷川さんは、さぬきの夢100%で皮を手作りしています。讃岐餃子の加盟店の中でも、さぬきの夢100%で手作りする店は珍しいほど、100%で作ることは難しいのだそう。オリーブ豚に白菜とニラ加えた具を包んでいます。 -
もちもち感とうどんのような弾力あるコシを出すために、加える塩や水の加減、練り方を試行錯誤して、ようやく今の皮にたどり着きました。
「自分としてはさぬきの夢を少し使うだけで、讃岐餃子だと語るのは何か違うなと思ったんです。せっかくなら100%で作ってみようと」と100%に挑んだ思いを聞かせてくれました。 -
讃岐餃子にかけるタレも讃岐餃子のために研究したもの。黒酢と醤油をベースにラー油を入れたピリ辛のタレで、一般的な水餃子のタレより酸味を効かせていることが特徴です。
「来店のたびに讃岐餃子を注文してくれるリピーターもいるんですよ」と長谷川さんは笑顔を見せてくれました。
「香川の方には馴染みのある食感ですが、県外の方にも食べてほしいですね」と梶さんも大満足の味でした。
中華料理 彩宴 -
3店でそれぞれの讃岐餃子を味わった梶さん。まだまだ個性的な讃岐餃子のお店があります。香川県、そして県外の方にもぜひ味わってほしいと、梶さんは讃岐餃子のおいしさに太鼓判を押してくれました。
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「讃岐餃子」の参加店はこちらで紹介しています。
讃岐餃子
「讃岐餃子」参加店
中国料理 青山
こだわりラーメン あぶらや
中国料理 永華
本格中華 ニュー雅園
中国料理 華宮
チャイナキッチン 弘
琥珀
中華料理 彩宴
中国麺 青龍
廣東料理 中国酒家
China 長江 柳迫店
中国料理 桃花苑
中国料理 桃妃
中国料理 北京 本館
China Dining Mei Wei(メイウェイ)
中華 よこはま亭
日本料理 新
休暇村讃岐五色台
Knocking kitchen
焼肉やしま