LOVEさぬきさんリポート LOVE SANUKISAN REPORT

第80回 オリーブハマチ

地域からニッポンを元気にする、よしもとの一大プロジェクト“あなたの町に住みますプロジェクト”。香川の住みます芸人“梶剛”さんが県産品をレポートしてくれます。

リポーター

うどんのように太く長く愛される芸人を目指しています!これからの梶剛に乞うご期待!

梶 剛(かじつよし)

NSC大阪校22期生
2005年ムーディ勝山と“勝山梶”結成
2008年ABCお笑い新人グランプリ新人賞
2010年ピン芸人“梶剛”として活動
出身地:香川県三豊市 1981年3月28日生まれ

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オリーブハマチは、香川県産を主としたオリーブの葉の粉末をえさに混ぜて与えた、香川県オリジナルのブランドハマチ。梶さんは香川県高松市庵治でオリーブハマチを養殖する、有限会社島野養魚・嶋野文太(しまのぶんた)さんを訪ねました。

  • 香川県の県魚と県花・県木がコラボしたオリーブハマチ

    10月上旬の庵治漁港はオリーブハマチの水揚げの真っ盛り。生きのいいオリーブハマチが次々とトラックに積まれています。
    香川県は昭和初期に世界で初めてハマチ養殖に成功して以来、質の高いハマチの研究を続けてきました。その中で2008年(平成20年)に誕生したのがオリーブハマチです。嶋野さんはオリーブハマチの試験養殖から携わってきました。

  • 「16年間、天候、水温、雨量、セミの声やトンボが飛んだなどの季節の変化と、ハマチが食べたえさの量を記録した実績があったことから、香川県から養殖試験の依頼がありました」と嶋野さん。香川県魚「ハマチ」と香川県花・県木「オリーブ」の組み合わせを聞いたときには「これはいける」と直感したと言います。

  • オリーブハマチとは、出荷前の15日間以上オリーブの葉の粉末を混ぜたえさを与え育てたハマチのこと。4月20日頃に養殖場に稚魚を入れて100日間をかけて育て、9月上旬からオリーブの葉のえさをやり、9月中旬~1月に出荷します。
    オリーブの葉に含まれるオレウロペインにはハマチの血合いの変色を防ぐ効果があります。えさの総重量に対してオレウロペインが2%以上含まれていることなど、えさには細かな規定が定められています。

  • ここで、ふと疑問に感じた梶さん「オリーブの葉のえさはハマチにとっておいしいんですか?」
    オリーブの葉は苦くて、実はハマチは苦手。苦いとえさに食いつきにくくなるため、嶋野さんは出荷前にやせてしまわないようにと、高タンパク質、高カロリーのえさに切り替えています。
    「出荷の1カ月前には一度オリーブの葉のえさを与えて、ハマチに味を覚えさせるんですよ」と工夫も教えてくれました。

  • 観察力と経験と勘に基づくえさやり

    庵治漁港から養殖場までは船で5分ほど。一つのイケスで約3500尾のハマチを育てています。ハマチは、船のエンジン音を聞き分けるほど繊細で、船が違うとえさを食べないこともあるそうです。ポンポンっと船から勢いよくえさが飛ぶとハマチが食いついてきました。
    えさは丁寧にゆっくりと。一気に食べさせずにフランス料理のようにゆっくりと食べさせて、無駄なく効率よく太らせます。また、ハマチの成長にあわせて、えさの大きさも変えています。「パクパクっと2口で食べられる大きさがベスト。大きすぎるとエラから水と一緒にえさも出てしまい、水が濁る原因になるんです」

  • 食べすぎると黄だんが出たり、死んでしまうこともあるため、えさやりに妥協は許されません。健康で品質のよいハマチに育てるためには、出荷前のみならず、稚魚からの100日間のえさやりが大切なのです。
    「嶋野さんのようにハマチの気持ちが分かるにはどのぐらい時間がかかりますか?」
    「15年ぐらいはかかりましたね。まずは観察。そのデータを整理整頓して、組み立てて、絞り込んで、実際に行動してみて、えさの量が決められるようになります。数字上のデータは引き継げるけれど、勘と経験は引き継げませんね」

  • 1分を争う水揚げと積み込み

    この日は朝6時半頃から水揚げがスタート。大きな網でイケスからオリーブハマチを引き揚げます。まるまると太ったハマチが勢いよく船の水槽の中に飛び込んでいきます。
    ハマチを積むと急いで漁港に戻り、漁港に横付けしたトラックへと移します。生きたまま輸送する活魚(かつぎょ)出荷はスピードが命。まだ水温の高い10月は、1分でも作業が遅れるとハマチが死んでしまうこともあるのだそう。

  • 運搬時の水温を冷たい17度に保ち、ゆっくり泳がせながら運びます。水温が低すぎるとハマチの外側の色がグリーンになり、身が白くなって質が落ちてしまいます。美しい黄金色の顔がおいしいハマチの証なのです。

  • きめが細かくてまろやかな脂が特徴

    オリーブハマチを嶋野さんおすすめの炙りどんぶりでいただきました。軽く炙られたハマチが食欲をそそります。
    「本当にうまいですね。身がトロトロでオリーブハマチの脂がまろやか」そのおいしさに箸がすすむ梶さん。オリーブの葉のすごいところは15日間与えただけでハマチの脂の味を変えてしまうこと。しょう油につけるとシュワッときめの細かい脂が広がります。

  • ハマチは締めてから6時間後が、うま味成分のイノシン酸が増えて食べごろになるのだそう。「秋から冬にかけて身が締まり、ますますおいしくなりますよ」と嶋野さんが教えてくれました。

  • 2008年にスタートしたオリーブハマチの養殖。香川県内ではオリーブハマチの名前を知らない人がいないほど認知されています。それは嶋野さんたち生産者の方が工夫を重ねて品質を高めていったからこそ。
    「冷凍販売などの新たな挑戦も始めています。全国そして世界に向けて、もっとおいしいオリーブハマチをお届けできるように研究していきたいですね」と嶋野さんは笑顔で語ってくれました。

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