第82回 オリーブサーモン
梶 剛(かじつよし)
NSC大阪校22期生
2005年ムーディ勝山と“勝山梶”結成
2008年ABCお笑い新人グランプリ新人賞
2010年ピン芸人“梶剛”として活動
出身地:香川県三豊市 1981年3月28日生まれ
香川県の新たなオリーブブランド魚が誕生!その名も「オリーブサーモン」。
梶さんはオリーブサーモンを養殖する香川県東かがわ市の服部水産を訪ねました。
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2024年にオリーブサーモンをブランド化
香川県東かがわ市の安戸池(あどいけ)では冬から春にかけてオリーブサーモンが養殖されています。
安戸池といえば、日本で初めてハマチ養殖に成功した場所。ここでオリーブサーモンの養殖に取り組む服部水産の服部秀俊(はっとりひでとし)さんが養殖の苦労や工夫を教えてくれました。 -
冬の水温の低さを生かしたサーモン養殖
サーモンの養殖は、東北など寒い地域で行われることが多いですが、西日本のうち冬場に水温が下がる瀬戸内海でも養殖が可能。
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香川県の養殖を代表するオリーブハマチは暖かい海を好む魚のため、水温が下がる前の1月には水揚げを終えます。その後、水温の低い時期にサーモンを養殖します。いわば農業でいう二毛作のように一年を通して養殖しているのです。
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手作業と機械を組み合わせた丁寧なえさやり
初出荷の2024年は、イワシなどの魚粉にオリーブ葉の粉末を加えたえさを30日間与えました。えさの総重量に対するオリーブの葉の割合は約2%。サーモンの大きさにバラツキが出やすいため、食いつき具合を見つつ手作業でやったり、機械を併用したりと、まんべんなく食べられるように工夫。「オリーブの葉を無駄に使わないように、効率よく効果が出る期間を研究中です」と服部さんは言います。
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サーモン養殖の試行錯誤
香川県のハマチ養殖は約100年の歴史があり、服部さんも先代から引き継ぎ、長年養殖業に携わってきました。ノウハウを持つ服部さんでもサーモンの養殖は難かったそう。
サーモンの養殖は、まず稚魚の生産者に500gの大きさまで育ててもらい、それを海に移して育てます。そのときにショックで死んでしまう稚魚が一定量出てしまいます。その割合を減らすため、海に降りる性質を持つ系統(降海型ニジマス)を選ぶなど、服部さんは系統選びから研究してきました。 -
また、養殖を始めた頃は、稚魚を長野、福島、山形から仕入れていましたが、遠方からだと輸送コストもかかるし、稚魚にもストレスがかかります。そこで、服部さんは四国内の生産者の開拓も進めています。
「将来的には香川県内で稚魚の養殖ができるようにしたいですね。近ければ稚魚の様子も見に行きやすいし、輸送コストも減らせます」と服部さんは先を見据えていました。 -
水揚げから出荷は鮮度が第一
12月に500gほどだった稚魚は、約5カ月間で1.5~2kgに成長します。スーパーや百貨店からの注文にあわせて4月上旬から水揚げを開始。水揚げの期間は4月上旬から5月中旬までの約2カ月間です。イケスに網を入れて魚を引き寄せ、そこから5~6匹ずつ水揚げ用の網ですくいます。
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すぐさま船上で活け締めにして氷水で冷やします。これは鮮度がよいまま出荷できるようにするため。港に着いたら魚の大きさによる選別や加工を行い、出荷します。
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オリーブサーモンは生食がおすすめ
服部さんがオリーブサーモンを使ったカルパッチョを用意してくれました。鮮やかな色が春らしい一品です。
「オリーブの葉を与えた効果でコラーゲンの量が増えて、食感がよくなっています」と服部さんがイチオシポイントを紹介。梶さんはさっそく口に運びます。「うまい。プリッとした食感がいいですね。脂はのっているけれど、しつこくない」と気に入った様子。
料理提供:香川県三豊市 イタリアン料理店「sosogu想注」入江シェフ -
「品質のよいタンパク質のえさを与えることで適度な脂の量に調整しているんですよ。ハマチ養殖で培ったノウハウをサーモンのえさの配合に生かしています」と服部さんがこだわりを教えてくれました。食感がよいので生食に向いていますが、塩焼きやちゃんちゃん焼きもおすすめです。
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「オリーブハマチ、オリーブマダイ、そしてオリーブサーモンとオリーブシリーズが揃いましたね」香川の3つのブランド魚を見てきた梶さんの感動もひとしお。
「サーモンは健康志向の人や寿司ネタに人気でこれからも市場の成長が見込める魚。さらに品質を高めて、出荷量を増やし、5年、10年かけて香川を代表する魚にしていきたい」
たくさんの方にオリーブサーモンを食べてもらうことで、若い人が夢を持って養殖業を続けられるようにしたいと服部さんは思いを語ってくれました。