LOVEさぬきさんリポート LOVE SANUKISAN REPORT

第84回 カキ(小豆島)

地域からニッポンを元気にする、よしもとの一大プロジェクト“あなたの町に住みますプロジェクト”。香川の住みます芸人“梶剛”さんが県産品をレポートしてくれます。

リポーター

うどんのように太く長く愛される芸人を目指しています!これからの梶剛に乞うご期待!

梶 剛(かじつよし)

NSC大阪校22期生
2005年ムーディ勝山と“勝山梶”結成
2008年ABCお笑い新人グランプリ新人賞
2010年ピン芸人“梶剛”として活動
出身地:香川県三豊市 1981年3月28日生まれ

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小豆島の池田湾では一年を通して旬でおいしく食べられる「三倍体のマガキ」が養殖されています。品質にこだわったカキは生食も可能。梶さんは11月の海の穏やかな日に、カキを養殖する池田漁業協同組合を訪ねました。

  • 持続可能な漁業を目指し2022年にカキ養殖スタート

    香川県でカキ養殖といえば志度湾や多度津の白方(しらかた)が知られていますが、小豆島では池田漁業協同組合が2022年4月に池田湾で始めました。
    近年、小豆島では漁獲量が減っており、漁師が安定した収入を得られず、後継者も減るという問題が顕著になっていました。若い漁師さんたちが将来安心して生活できるよう、持続可能な漁業を目指してカキ養殖に着目したと池田漁業協同組合の平見悠真(ひらみゆうま)さんが教えてくれました。

  • 産卵しにくく夏もおいしい「三倍体のマガキ」

    池田漁業協同組合が養殖しているのは三倍体のマガキ。
    三倍体のマガキとは、遺伝子を変えたものではなく、水温や紫外線などの刺激で生まれた生殖能力を持たないカキのことです。種なしビワ、種なしスイカもこの技術が応用されて栽培されています。一般的なカキは産卵する夏場に身が痩せて水っぽくなりますが、三倍体のマガキは産卵が抑制されているため、一年を通しておいしく食べられることが特徴です。

  • カゴで育てる「シングルシード方式」を採用

    養殖にあたり、まずは養殖場所から検討をしました。池田湾の中でもとくに波が穏やかで、かつて真珠養殖の実績のある場所を選びました。
    また養殖方法は、ホタテの貝に稚貝を付けて海中に吊り下げる従来の「筏式垂下法(いかだしきすいかほう)」ではなく、カゴの中に稚貝を入れて育てる「シングルシード方式」を採用。シングルシード方式には、カキの殻が深くて丸い形になり、身もぷっくりと大きくなるというメリットがあります。

  • 2024年3月からの生食用の販売に向けては、一年間、毎月海水の大腸菌検査を行い、浄化装置も整えました。池田湾は大きな河川の流れ込みがないため生活排水も少なく、水質が安定していたことも養殖に適した環境だと言えます。

  • カキの成長にあわせて手間をかけて育てる

    2024年は7月に養殖をスタート。大きさ5mmほどの稚貝をメッシュのカゴに入れて、水深の1m~1.5mにカゴを沈めます。大きくなるとカゴを変えて海面近くに設置します。早ければ1~2週間で5mmの稚貝が3cmに成長し、10カ月~1年かけて10cmほどになります。

  • 成長の度合いを毎日チェックし、大きいものを選別してカゴを入れ替えます。同じ時期に入れた稚貝でも成長に差があるので、大きさが揃うように入れ替えることが重要なのです。

  • さらに大変なのはカゴの掃除だと平見さんは言います。「カゴに藻やフジツボが付いているとそれらに栄養分が取られてしまうので、高圧ポンプを使って落とします」
    カゴの数は3,000~4,500個あると聞いて梶さんは圧倒されていました。

  • カキにとってよいこと尽くめの天日干し

    よく見ると海面近くに設置したカゴは水面から浮いています。反転機を使ってカゴをひっくり返し、カキを天日干ししているのです。週に2~3回、夏は2~3時間、冬は朝から夕方まで海面から上げています。
    「天日干しの状態のカキは、人間でいうところの筋トレ状態。天日干し後に海に入れると、栄養の吸収がよくなり貝柱が太くなります」
    そのほか、天日干しにはマガキに付くヒラムシという天敵を退治したり、汚れを防止したりとさまざまな効果があると平見さんが教えてくれました。

  • 一年中が旬!年間を通して水揚げ

    一年中が旬の三倍体のマガキは、年間を通して水揚げ、出荷しています。
    「加熱用」は水揚げしたら高圧洗浄機で珪藻などの掃除をし、箱詰めして出荷します。「生食用」は紫外線浄化装置で殺菌した人工海水で22時間以上浄化してから出荷します。安心して食べてもらえるよう、安全面や品質面も万全の体制を整えています。

  • ぷっくりとした身、濃厚でクリーミーな味

    自慢のカキを味わってくださいと平見さんが用意してくれたのは、蒸しがき。
    小鍋に5~6個のカキと料理酒を入れて火にかけて約5分、殻が少し開いたら火を消して蒸らします。火の入れすぎは身が縮んでしまうので要注意。ナイフで殻から身を剥がしておくと食べやすくなります。

  • 見るからにプリッとした身。殻に溜まったスープをすすり、身を一口でいただいた梶さん。
    「めちゃくちゃ甘いですね。天日干しで鍛えられた貝柱がシャキシャキとした食感でおいしい」

  • 続いて生がきを試食。「こちらも味が濃くてうまい。口の中に磯の香りの余韻が残りますね」
    「生がきはカキ本来の味が楽しめるんですよ。夏はトロっとした身であっさり味、冬はシャキシャキ食感で濃厚な味と、夏と冬で食感や味が変化します」と平見さん。夏と冬の食べ比べもおすすめだそう。

  • 新しいチャレンジで漁業が進化

    「平見さんのように、若い方が新しいことにチャレンジして漁業をどんどん進化させていることを感じました」と梶さん。
    「若い方にも漁業を続けてもらいたいので、これからも試行錯誤しながら、もっとおいしいカキを育てていきたい。ゆくゆくは東京や全国各地に発送してみなさんに知ってもらいたいですね」と平見さんは思いを語ってくれました。

  • 生産者 池田漁業協同組合 平見悠真さん

    池田漁業協同組合は、長年地元ののり養殖業や漁業を支えてきました。近年は漁業者の収入増加につながる加工品製造や試験養殖など、漁業の再興を目指した事業に積極的に取り組んでいます。平見さんは若手漁業者として三倍体のマガキの養殖にスタート時から携わり、日々の作業やイベント販売などで活躍しています。

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